ここ最近の教育理論で大きな注目を受けているのが「褒め方」です。
人が人を褒めるという好意には、承認や評価、認識といったその人に対するポジティブな関心が伴うことになるため、それが満たされることで心理面によい影響がたくさん生まれます。
子育てだけでなく夫婦生活や友人関係、会社内の仕事関係でもこの「褒め方」のテクニックは相当に重要視されるようになってきており、いかにして人を褒めるかはイコールでいかにして人間関係を円滑にしていくかという非常に広い範囲の問題につながっていきます。
褒め方のテクニックの中でも特に基本となるのが子供に対する褒め方です。
子供は大変素直な心を持っていますから、その褒め方次第で本当にすぐにその後の行動や性格に変化がでてきます。
子供を上手に褒めることができる人というのはすなわちどんな人に対してもうまく褒めをしていくことができる人であるとも言えます。
子供を褒めるときのポイントをいくつか紹介していきます。
まず最も重要になるのが「本人が褒められていることをしっかり認識できるようにする」ということです。
昭和の映画に出てくるようなぶっきらぼうな中年男性などでは人の目を見て褒めることができずに、聞こえるか聞こえないかのような小声で「よくやった」だけを言うようなこともありますが、それでは相手がしっかりと「今自分が褒められた!」という実感を得ることができません。
子供を褒めるときにはしっかりと本人の前で、目を見て心の底から褒めてあげるようにしましょう。
なお子供というのは大人の表情を見るのがとてもうまいので、口先だけで褒めていたり、内心ではそう思っていないのに適当に褒めているのはすぐに見抜かれてしまいます。
また、その褒めが「何に対して褒められたかを明確にする」ことも大切です。
とりあえず褒められているみたいだけど何でそうなったのかよくわからないというようなことでは、せっかくの褒めも効果がありません。
きちんとお片付けをした、時間通りにご飯を食べた、友達と仲良くした、などなんでもよいのできちんと理由を示してから褒めるようにしましょう。
褒めるときには「すぐに褒める」ようにしないと、時間が経ってからでは何があったか子供は忘れてしまっていることもあるので、できるだけ記憶や体験が新しいうちに声をかけてください。
もう一つ褒めのテクニックで大事になるのが「結果ではなく努力を褒める」ということです。
例えば小学生に対して「次のテストで100点取ったら欲しいものを買ってやる」というような、結果が前提になって褒められるようなやり方では長期的な心理では良くない影響が多くなります。
なぜならそうした結果が褒めになる場合には、結果が出ない自分は褒められる価値がないものという考えになってしまうので、努力をするということが身につかなかったり、すぐにも自分は価値がなくなってしまうかもしれないという精神的にもろい状態ができあがってしまうからです。
努力をして得た結果を褒めるのは当然ですが、その場合には結果だけを褒めるのではなくそのための努力をしたことの方を高く評価してあげるようにしましょう。